【GVH5周年記念】リレーインタビュー第5回 牧野成将

※この記事は、2016年7月時点のものです。

GVH大阪(グローバルベンチャーハビタット大阪)は2015年12月で5周年を迎えました。
これを記念し、GVH大阪の卒業生をはじめとした「グローバル・リーダー」のインタビューをリレー形式でお届けします。

最終回となる第5回目は、株式会社サンブリッジ グローバルベンチャーズ マネージャー 牧野 成将です。

その他のインタビューはこちら
①「大阪を救うのは若者しかいない!」平石 郁生

②「スタートアップに必要なこと」 米坂 元宏氏

③「大阪から世界へ」 アレン・マイナー

④「大阪から、次のステージへ。」中嶋 洋巳氏

⑤『GVHへの想い』牧野 成将

「日本にはなぜ、ベンチャー企業が生まれにくい?」

2006年にシリコンバレーに行く機会があり、「ベンチャー企業を育てるインキュベーション」の存在が日米では全く異なることを感じました。シリコンバレーでは施設、資金、そしてアドバイスする人(メンター)が密接に結びついてベンチャーの立ち上げを支援していました。更に起業家のマインドの違いにも驚きました。シリコンバレーでは最初からグローバルマーケットを対象に事業を考えていました。その時、日本のベンチャーはどうだろうと考えたのです。例えて言うなら、世界には素晴らしい大学が数多くありますが、日本の高校生で勉強ができる子は一様に東大を目指しているような感じです。もし最初からハーバード大学やスタンフォード大学を知っている高校生がいたら、中にはそうした大学を目指すような子がいても良いのではないかと感じました。最初からグローバルを視野に入れればグローバルに活躍できるベンチャー企業が生まれるのではないか、それが私自身の原点となりました。

日本からグローバル企業を育てたいと思い、2009年から京都市のインキュベーション施設の立ち上げを行いました。起業についての相談はたくさん来たのですが、趣味のグッズをネット販売したり、空いている時間に副業で稼ぎたいなど、グローバル企業とは遠い相談ばかりでした。そこには地理的な問題も感じられました。現時点では、ベンチャー企業のエコシステムを創るには、コミュニティが小さすぎると感じました。京都だけでは難しい。多分、この状況は大阪や兵庫も同じだろうと考えました。エコシステムとしては関西圏全体を対象にするべきだと感じました。関西圏を対象とするには、京都や兵庫、はては奈良や滋賀などからも人が集まることができる「梅田」しか無いと思いました。

2013年、GVHがグランフロント大阪に移転したころ。七夕のイベントなどで会員の交流を深めた。


そんな時、サンブリッジがインキュベーションオフィスを梅田に創るという話を聞き、ぜひ関わりたいと思いました。その頃はすでにできあがっている企業に投資する仕事より、ベンチャーを育てる環境を創りあげることに、仕事としての遣り甲斐を感じるようになったのです。

GVH Osaka(グローバルベンチャーハビタット大阪)の歩み

第1回で平石が語っていますが、当初、GVHはベンチャー企業の施設っぽくはありませんでした。2011年はリーマン・ショックの影響もあり、関西の主要なVCが活動を控え、ベンチャー企業の数も極端に減少していました。また関西で創業しても資金を求めて東京に移転してしまう状況でした。ですが当時の責任者の横田さん、また共同運営している都市活力研究所の方々と、いつ実現するかはわかりませんが「将来はこんな場所にしたい」と常に議論をしていました。色々なセミナーや勉強会、また学生を巻き込んでの研究会など思いつく限りの事はすべて実行しました。グローバルマインドを身につけて欲しいとの思いから、シリコンバレーとTV会議を結んで一緒にパーティーをしたこともありました。多くの方々がその思いに賛同してくれるものの、ここから本当にグローバルスタートアップが誕生するのかは私たちでも不安になりました。しかしながら、着実に起業家がこのGVHから誕生しはじめていました。

2013年、グランフロント大阪にGVH Osakaを移転しました。移転時のベンチャーの数はたった2社。それでも周りには起業を志す人がいることを着実に感じるようになりました。こうした人達を中心としたコミュニティを作る必要があると感じ「Morning Jam」という朝の勉強会を開始しました。毎回、入居起業家同士で成功や失敗の事例を話し合いました。また弁護士、会計士、投資家、更にはマーケティングのプロなどで構成されるサポーター会員を作り、彼らにもMorning Jamに参加してもらい、様々な講義をしてもらいました。実際に事業面でも顧客が付き始めるベンチャーも出てきていました。ここで投資家や大企業の方々との接点を作る必要があるだろうと感じ、2015年からは「GVH Demo Day」というプレゼンテーションイベントを春と秋で実施することにしました。新たなベンチャー企業のお披露目の場として認知されるようになり、毎回100名以上の方々が集まるイベントになっています。2016年4月には大阪市の吉村市長にも登壇していただき、大阪/関西のベンチャー企業への期待を熱く語ってもらいました。また2015年3月にはサンブリッジコーポレーションと阪急電鉄さんとで「梅田スタートアップファンド1号」というファンドを立ち上げ、資金部分でもベンチャー企業の方々をサポートするようになりました。こうした活動も影響して今では卒業企業も含めると50社以上のベンチャー企業がこのGVHから輩出されており、資金調達に成功する企業も数多く出てきました。中には1億円を超える調達に成功する企業も出てきました。また外国人の起業家もこの施設を使用するようになり一気にグローバル感が高まりました。GVHに入居する企業の皆さん、都市活力研究所や阪急電鉄の皆さん、そして共に活動するメンバーにも恵まれ、GVHは関西のベンチャー企業の一つのハブになりつつあると強く実感しています。

月に2度のMorningJamでは、会員企業やすでに成功を収めているベンチャ-企業の経営者の話を聞き、刺激しあう。

今後の想い

2011年から2013年は土台作り、その後2015年まではベンチャーのコミュニティを創る時期として活動してきました。そして本年2016年からは、GVH Osaka以外のベンチャー企業も巻き込んだエコシステム構築に向けて動いていきたいと思っています。その1つが2016年7月から開始するGVH Startup Campです。これはベンチャー企業を生み出すところから貢献しようという取り組みで、主に学生さんや若手の社会人の方々を対象にベンチャー企業に必要なチームを作り、アイデアを考え、そしてデモ(試作機)を作って検証するというベンチャーの立ち上げを3ヶ月間で実体験する取り組みとなります。また関西のベンチャーのコミュニティを大きくするために「GVH Meetup」というイベントを定期的に開催しています。今までシリコンバレーの弁護士さんや広告配信の会社、また学生向けのイベント等を開催してきました。2011年当初、何もなかった時に思い描いてきた「ベンチャーのエコシステムを大阪に創る」という構想には、少しずつですが、向かっていると確信しています。しかしまだ満足はしていません。日本からGoogleのようなグローバルで革新的な企業を作りたいというのが私たちの夢です。その夢に向かって更にGVHを大きくしていきたいと思っています。

スタートアップ成功の要因は?

最後に私の経験から少しだけお話したいと思います。GVH Osakaを立ち上げずっと数多くのベンチャー企業の成長過程を見ていますが、何が成功の要素かと問われても、わからないというのが正直な感想です(笑)。今までGVHから卒業していった数多くのベンチャー企業がありますが、こうした企業に何かの特徴があるかというと、明確には見つからないのが不思議です。一般的には「チーム力が大切」と言われていますが、そうでもない例も見ます。ただひとつ言えることは「目標」や「夢」を描かないかぎりは実現しないということです。大学時代の先生が「多くの人間が夢の一部しか叶わないのだから、夢は大きければ大きいほどよい」と言っている言葉が印象的でした。ベンチャー企業の皆さんには、大きな夢を描いて欲しいと思っています。そして一生懸命働いていれば、色々な応援者がつき、その夢に向けて近づいていけるのではないかと思っています。是非、GVHに来てもらい、大きな夢を描き、そして実現して欲しいと思っています。

GVHには、「サポーター会員」として弁護士や税理士、PRプロデューサーなども入居。スタートアップが知っておきたい基礎的な知識を指導頂き、気軽に相談できる環境を整備している。写真は寺田有美子弁護士 (アーカス総合弁護士事務所

GVHのポストには、不死鳥のイラストが描かれている。ここから世界へ羽ばたくスタートアップが生まれることを祈って

取材・執筆:GVHサポーター会員 マーケティングPRプロデューサー 西山裕子

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です